なかなか踏み出せない生前整理。でも、これを機に身の回りをすっきりさせて、残りの人生をもっと快適に過ごしませんか?家族と思い出を分かち合いながら、大切なものを整理していく。そんな時間は、きっと価値ある贈り物になるはずです。このガイドでは、誰でも始められる生前整理の具体的な進めかたをご紹介します。
生前整理とは?その重要性を解説

生前整理の大きなメリットは、まず自分の物を自分の意思で整理できることで、とくに思い出の品々を大切な人に直接手渡せる喜びがあります。また、整理することで生活空間が快適になり、心にも余裕が生まれます。
一方でデメリットとしては、時間と労力がかかることや、整理の過程で様々な感情が湧き上がり精神的な負担を感じる可能性があることが挙げられます。ただし、これらの感情と向き合うことも、人生を見つめ直す貴重な機会となります。
生前整理が必要な理由は、大切な家族の負担を減らすためです。突然の事態が起きた際、残された家族は深い悲しみの中で様々な判断を迫られますが、生前整理によってその負担を大きく軽減することができます。また、自分の人生を振り返ることで、充実した日々を送るきっかけにもなります。
さらに、生前整理は家族との絆を深める素晴らしい機会となります。思い出の品々について語り合うことで、家族の歴史や大切な思い出を共有でき、世代間の理解が深まります。
また、自分の意思を明確に伝えることで、将来的な不安や混乱を防ぎ、家族が安心して故人の意思を尊重した対応ができるようになります。
さらに、整理された環境は、残された家族の心の整理にもつながり、より健やかな悲しみの過程を支えることができます。
生前整理の進め方と手順

生前整理は、誰もが向き合う必要のある人生の大切な節目です。あわてることなく、無理のないペースで進めていきましょう。
まず身の回りの整理から始めます。衣類やアクセサリー、書籍など日用品の仕分けを行い、「今後使用するもの」「思い出として残すもの」「処分するもの」の3つに分類します。次に、重要書類の整理に取り掛かります。
保険証書、年金手帳、不動産関連書類、銀行通帳などを一箇所にまとめ、家族にも場所を伝えておきましょう。
デジタルデータの整理も忘れずに、スマートフォンやパソコン内の写真や文書、パスワード類も整理します。さらに、医療や介護に関する意思表示をエンディングノートに記載し、財産の分配についても遺言書の作成を検討することをお勧めします。
衣類の整理例:
- 「3年以上着ていない服」
- 「サイズが合わなくなった服」
- 「傷みや劣化が目立つ服」は処分
- 「思い出の服(結婚式の衣装など)」は写真を撮って記録してから処分を検討
書類の整理基準:
- 「期限切れの領収書(確定申告から5年以上経過)」は処分
- 「現在の保険証券・年金手帳・不動産関連書類」は必ず保管
- 「古い通帳や契約書」は口座が閉鎖されているか確認してから処分
必ず保管が必要な書類と期限:
- 「確定申告書」→7年間保存
- 「源泉徴収票」→5年間保存
- 「医療費の領収書」→5年間保存
- 「固定資産税の納付書」→5年間保存
- 「生命保険の証書」→契約終了まで
- 「不動産売買契約書」→永年保存
- 「遺言書」→永年保存
季節ごとの保管方法:
- 「冬物コート・セーター」→防虫剤を入れて密閉式の衣装ケースで保管
- 「夏物の浴衣・甚平」→防カビ剤を入れて通気性のある収納袋で保管
- 「スーツ・フォーマル」→洗濯後、ハンガーにかけてカバーをして保管
処分の判断基準:
- シミ・黄ばみがある
- 生地が薄くなっている
- ボタンが取れかけている
- ファスナーの動きが悪い
- 毛玉が目立つ
生前整理は体力と気力が充実している60代前後から始めるのが理想的です。1年程度の期間を目安に、季節の変わり目や大掃除のタイミングに合わせて少しずつ進めていきましょう。
まずは使用頻度の低い物から始め、3ヶ月ごとに見直しを行います。特に思い出の品々は、時間をかけて整理することで、大切な思い出を振り返る機会にもなります。
定期的に家族と話し合いの場を設け、方針や進捗状況を共有することで、より円滑な整理が可能となります。
具体的な1年間のスケジュール例:
- 1-3ヶ月目:使用頻度の低い場所(押入れ、物置)の整理
- 4-6ヶ月目:衣類、本棚、キッチン用品の整理
- 7-9ヶ月目:思い出の品、アルバム、手紙類の整理
- 10-12ヶ月目:重要書類、デジタルデータの整理
月別の目標設定例:
- 1月:押入れの冬物整理
- 4月:不要な書類の処分
- 7月:衣替えに合わせた衣類整理
- 10月:デジタル写真の整理
生前整理の専門業者に依頼することで、効率的かつ適切な整理が可能になります。業者は豊富な経験と専門知識を持っており、品物の価値判断や処分方法について的確なアドバイスを提供してくれます。
また、重たい家具や大量の書類の整理など、体力的な負担が大きい作業も安全に行えます。さらに、遺品整理士の資格を持つ専門家は、思い出の品々への配慮も忘れません。
業者選びの際は、料金体系の透明性や、きめ細かなサービス内容、プライバシーへの配慮などをしっかりと確認するほうがいいでしょう。経験豊富な業者と協力して進めることで、精神的な負担を和らげることができます。
業者選びのチェックポイント:
- 見積もり内容が明確で、追加料金の有無
- 作業員の資格保有状況(遺品整理士など)
- 他の顧客の口コミや評価
- 損害保険への加入状況
- 秘密保持契約の有無
- 分別・リサイクルへの取り組み姿勢
予算の目安:
- 1K~2DK:15~30万円
- 3LDK~4LDK:30~50万円
- 一軒家:50~100万円
※荷物の量や地域により変動
資産管理と財産の整理

人生の終末期に向けた準備として、資産と財産の整理は非常に重要な要素となります。ご家族が安心して相続できるよう、しっかりと整理していきましょう。
まずは手持ちの銀行口座と預貯金通帳を一覧にしてみましょう。使用していない口座を整理し、管理する口座を集約することで、将来の手続きも楽になります。
また、インターネットバンキングの利用がある場合は、IDやパスワードを安全な方法で記録し、家族が必要なときにアクセスできるよう準備しておきます。
さらに、各金融機関での取引履歴や残高証明書を定期的に取得し、ファイリングしておくことで、将来の相続手続きがスムーズになります。年金や保険の支払い口座も明確にし、家族に伝えておくことが大切です。
具体的な口座整理の手順:
- メインバンク1行に集約
- 給与・年金受取用の口座は別途維持
- 利用頻度の低い口座(年間1-2回の取引)は解約
- 各口座の通帳、印鑑、キャッシュカードは一つの封筒にまとめて保管
不用品を整理する際は、骨董品、美術品、貴金属など価値の高いものについて、まず専門家による査定を受けることをお勧めします。
リサイクルショップでの買取や、オークションサイトでの出品も検討価値があります。大型家具や電化製品は、リユースショップや家電量販店の下取りサービスを利用すると便利です。
また、まだ十分使える物は、フリーマーケットやチャリティー団体への寄付という選択肢もあります。処分する際は、地域の粗大ごみ収集規則に従い、適切な方法で行うことが重要です。
思い出の品は、写真に収めてから処分するなど、心の整理もしながら進めていきましょう。
一方で、相続税対策は早めの準備が重要です。まずは、不動産、預貯金、株式、保険金、貴金属など、すべての資産を洗い出し詳細な財産目録を作成します。
相続税の基礎控除額を考慮しながら、生前贈与の活用や、相続時精算課税制度の利用を検討することも有効です。また、不動産の評価方法や相続税の計算方法について、税理士に相談しましょう。
とくに、自宅の評価額や事業用資産がある場合は、専門家のアドバイスが不可欠です。財産目録は定期的に更新し、保管場所を家族に伝えておくことで、将来の相続手続きがよりスムーズになります。
エンディングノートの活用方法

エンディングノートは、大切な家族へのメッセージであり、自分の人生の集大成を記す貴重な記録です。心を込めて丁寧に記入していきましょう。
エンディングノートには、基本的な個人情報から始まり、保険・年金の詳細、資産状況、定期的な支払い、医療・介護に関する意向、葬儮への希望など、様々な情報を順を追って記していきます。
また、SNSのアカウント情報や電子決済サービスの情報なども忘れずに記載しましょう。とくに大切なのは、「自分史」の部分です。人生の思い出や家族への感謝の言葉、将来の夢を持つ若い世代へのメッセージなど、自分らしさを存分に表現してください。
趣味や好きな言葉、思い出の写真なども添えると、より心のこもった内容になります。
医療・介護の意向記入例:
- 「人工呼吸器の使用について:積極的な延命処置は望まない」
- 「最期を迎えたい場所:可能な限り自宅で」
- 「臓器提供:承諾する/しない」
※具体的な意思表示を記載
エンディングノートに意思を記す際は、まず静かな環境で自分と向き合う時間を持ちましょう。延命治療や看取りの場所など、医療に関する希望は具体的に記載します。お葬式の形式や、お墓についての希望も細かく書き留めておくと良いでしょう。
大切な思い出の品々の行き先や、デジタルデータの取り扱いについても明確に記しておきます。とくに、伝えたい気持ちは率直に、でも穏やかな表現で書くことを心がけましょう。家族への感謝や謝罪、アドバイスなど、普段は照れくさくて言えない気持ちもここに込めることができます。
エンディングノートは、家族が必要なときにすぐに見つけられる場所に保管することが重要です。自宅であれば、重要書類と一緒に耐火金庫や書類キャビネットに保管するのが一般的です。また、信頼できる家族や親族に保管場所を必ず伝えておきましょう。
コピーを作成して複数の場所に保管することもお勧めです。ただし、プライバシーに関わる情報も含まれているため、保管場所は慎重に選びましょう。
デジタルデータとしても保存する場合は、パスワード管理に気を配り、家族がアクセスできる方法も併せて伝えておくと安心です。定期的に内容を見直し、必要に応じて更新することも忘れずに行いましょう。
遺言書の作成と必要性

遺言書は、大切な家族が相続で困らないようにするための重要な書類です。ご自身の意思を明確に残すことで、残された方々の不安や負担を軽減することができます。
遺言書には、公正証書遺言と自筆証書遺言の2種類があります。公正証書遺言は、公証人の面前で作成する正式な遺言書で、法的効力が最も確実です。証人2名の立ち会いが必要ですが、形式不備のリスクが少なく、原本は公証役場で保管されるため紛失や改ざんの心配がありません。
一方で、自筆証書遺言は全文を自分で書き、日付と氏名を記載して押印する方式です。費用がかからず手軽に作成できますが、法的要件を満たさないと無効になるリスクがあります。
また、2020年からは法務局での自筆証書遺言の保管制度が始まり、より安全な保管が可能になりました。
遺言書の作成には、まず財産の全容を把握することから始めます。不動産、預貯金、有価証券、保険金の受取人、貴金属類など、すべての財産を書き出し、それぞれの相続先を具体的に指定します。特に不動産は、所在地や登記簿上の表示を正確に記載することが重要です。
また、介護してくれた人への特別な配慮や、お世話になった方への感謝の気持ちを込めた遺贈なども検討しましょう。
相続人に対する思いや、財産分配の理由なども記載しておくと、遺族の理解が深まります。加えて、葬儀や埋葬に関する希望、ペットの引き取りなど、財産以外の要望も記しておくと良いでしょう。
専門家(税理士・弁護士)への相談

遺言書の作成には、税理士や弁護士などの専門家に相談することが望ましいです。とくに、事業承継や不動産の相続、相続税対策が必要な場合は、専門家のアドバイスが不可欠です。
税理士は、相続税の計算や節税対策について具体的な提案をしてくれます。弁護士は、法的な観点から遺言書の内容をチェックし、将来のトラブルを防ぐアドバイスをしてくれます。
また、認知症などに備えて任意後見契約を検討する場合も、専門家に相談することが望ましいです。
相談料は必要になりますが、将来の紛争を防ぎ、スムーズな相続を実現するための投資と考えましょう。定期的に内容を見直し、必要に応じて修正することも忘れずに行います。
専門家への相談時期の目安:
- 相続税が発生する可能性がある場合→資産が1億円を超える、または不動産を複数所有している場合は、65歳までに税理士への相談を
- 遺言書の作成→75歳までに公証役場で手続き
- 任意後見契約→認知機能が健全なうちに、遅くとも80歳までに
相談時の準備書類:
- 戸籍謄本
- 不動産の登記簿謄本
- 預貯金通帳のコピー
- 保険証券のコピー
- 株券や投資信託の残高証明書
- 直近の確定申告書
遺品整理とその実施方法

遺品整理は、故人への敬愛の念を持ちながら、家族全員で協力して進める大切な過程です。一つ一つの思い出に向き合いながら、丁寧に整理を進めていきましょう。
遺品整理は、まず家全体を見渡すところから始めましょう。各部屋の写真を撮って、どんな物がどれくらいあるのかを確認します。
その後、重要書類の整理に着手し、戸籍謄本、健康保険証、年金手帳、銀行通帳などを探して整理します。続いて、衣類や日用品、書籍などを「保管するもの」「寄付するもの」「処分するもの」の3つに分類していきます。
とくに貴重品や現金は、発見次第リストを作成し相続人全員で情報を共有します。大型家具や電化製品は、リサイクルショップへの買取や粗大ごみ収集の手配を計画的に進めます。作業は無理に一度にせず、1日2~3時間程度を目安に、こまめに休憩を取りながら進めていきましょう。
遺品整理は、家族全員で方針を共有することが大切です。まず、整理の日程や役割分担を話し合い、各自の都合や体力に合わせて作業を分担します。例えば、高齢の方は書類の確認や小物の仕分け、若い方は重い家具の移動を担当するなど、それぞれの得意分野を活かしましょう。
作業中は定期的に休憩時間を設け、故人との思い出話に花を咲かせることもおすすめです。意見の相違が生じた際は、その場で話し合いを持ち、お互いの気持ちを尊重しながら決めていきます。また、遠方の家族とはオンラインで連絡を取り合い、重要な判断は全員で共有することが望ましいです。
思い出の品の整理は、最も慎重に進める必要がある作業です。写真やアルバム、手紙、日記などは、デジタル化して保存します。手作りの品や記念品は、家族で分け合う前に写真に収め、共有フォルダに保存しておくと良いでしょう。
位牌や賞状、勲章などの大切な品は、保管する人を決めて引き継ぎます。着物や装飾品は、家族で話し合って受け継ぐ人を決めましょう。処分する場合も、しっかりと供養してから行うことで、心の整理にもつながります。
とくに仏壇や神棚は、寺院や神社に相談し、適切な作法で処分することが大切です。故人の趣味に関する品々は、同じ趣味を持つ方に譲るなど、新たな形で活かすことも検討してみましょう。
写真の整理方法:
- 年代順に仕分け
- イベント(結婚式、入学式など)ごとにフォルダ分け
- 重複写真は処分
- とくに思い入れのある写真は裏面に日付と状況を記載
- デジタル化してクラウドストレージに保存
デジタル資産の整理

現代社会では、デジタル資産の整理も生前整理の重要な要素となっています。思い出の写真やメールなど、大切なデジタルデータを適切に管理し、次の世代に残すための準備をしましょう。
スマートフォンやパソコンの整理は、まずデバイスごとのパスワードやロック解除方法をリストアップすることから始めます。機種名、購入時期、Apple IDやGoogleアカウントなどの基本情報も記録しておきましょう。
アプリは「継続が必要なもの」「解約すべきもの」「削除するもの」に分類し、とくに有料サービスの契約状況は漏れなく確認します。
電子決済サービスやネットバンキングは、セキュリティ面に配慮しながら、アカウント情報と解約手続きの方法を記録します。
デバイス内の写真や動画は、重複データを整理し、アルバムごとに整理して保存しましょう。連絡先やメールアドレス帳も整理し、重要な連絡先は別途リストアップしておくと安心です。
SNSアカウントの管理は、まず利用しているすべてのサービスを洗い出すことが重要です。Facebook、Twitter、Instagram、LINEなど、各サービスのログイン情報やアカウント設定を記録します。とくに、アカウントの死後設定(デジタル遺産管理)機能がある場合は、あらかじめ設定しておきます。
例えば、Facebookのメモリアルアカウント設定や、Googleアカウントの無効化設定などです。LINEなどのメッセージアプリには、個人的なやり取りが残されていることがあります。
それらの内容を確認し、必要なものは保存、それ以外は適切に削除するようにしましょう。写真や投稿内容は、思い出として残しておきたいものを選別し、データとして保存しておくことも大切です。
大切なデータは、複数の場所に保存しておくと安心です。写真や書類は、クラウドサービス(Google Drive、iCloud、Dropboxなど)を使って定期的に保存するようにしましょう。
思い出の写真や動画は、外付けハードディスクにも保存し、できれば2か所以上に保管したほうが安心です。バックアップデータへのアクセス方法や、パスワード管理アプリの情報は、信頼できる家族に伝えておきましょう。
また、デジタル遺産として残したいデータは、フォルダ分けして整理し、それぞれの保存場所と内容を文書にまとめておくと、後の管理がスムーズです。暗号資産(仮想通貨)を保有している場合は、ウォレット情報やシードフレーズの安全な引き継ぎ方法も検討が必要です。
具体的な保存方法:
- 写真・動画→Googleフォト、iCloud(自動バックアップ設定)
- 重要書類→クラウドストレージ2か所(Google Drive、Dropbox等)
- パスワード類→パスワード管理アプリ(LastPassなど)で一元管理
- 連絡先データ→スマートフォンからCSVでエクスポートして保存
整理の優先順位:
- 思い出の写真・動画
- 結婚式、誕生日、旅行写真は高解像度で保存
- 動画は1080p以上の画質で保存
- 写真は年/月/イベント名でフォルダ分け
- 重要書類のスキャンデータ
- 保険証書、資格証明書は600dpi以上でスキャン
- PDFファイルに変換して保存
- ファイル名は「書類名_年月日」の形式で統一
- オンラインサービスのログイン情報
- ID/パスワードは暗号化して保存
- 二段階認証の回復コードもバックアップ
- セキュリティ質問の回答も記録
生前整理における家族への配慮

生前整理で最も大切なのは、家族の気持ちを考えることです。残される方々の立場に立って、一つ一つ丁寧に準備を進めていきましょう。
家族への負担を軽減するためには、まず自分の意思を明確に伝えることが大切です。日頃から家族と対話の機会を持ち、自分の希望や考えを共有していきましょう。重要書類は一箇所にまとめ、その保管場所を家族に伝えておくことで、緊急時の混乱を防ぐことができます。
また、定期的な支払いや契約内容をリスト化し、手続きの方法を具体的に記録しておくと、残された家族の不安が軽減されます。介護が必要になった場合の希望も、元気なうちに家族と話し合っておくことをお勧めします。
さらに、医療や介護の費用についても、保険や貯蓄の状況を共有し、家族が安心して対応できる環境を整えましょう。
お葬式については、自分の希望を明確にしながらも、残される家族の意向にも配慮することが大切です。近年は、家族葬や一日葬、直葬など、様々な形式が選択できるようになっています。
家族葬は、親族や親しい友人だけで行う小規模なお葬式で、費用面での負担も軽減できます。一日葬は、通夜を行わず告別式のみを行う形式で、遺族の身体的・精神的負担を考慮した選択肢です。
また、お寺との付き合いや宗教観についても、家族と率直に話し合い、双方が納得できる形を探っていきましょう。費用面については、事前に見積もりを取り、準備しておくことで、家族の不安を和らげることができます。
葬儀の形式による費用と特徴の比較
一般葬:
- 費用:200~300万円
- 参列者:50~100人程度
- 特徴:通夜と告別式を行う一般的な形式
家族葬:
- 費用:50~100万円
- 参列者:20人程度まで
- 特徴:近親者中心の小規模な形式
一日葬:
- 費用:30~70万円
- 参列者:30人程度まで
- 特徴:告別式のみを行う簡略化した形式
直葬:
- 費用:15~30万円
- 参列者:なし~数人
- 特徴:火葬のみを行う最も簡素な形式
遺族とのコミュニケーションは、互いを思いやる気持ちを持って進めることが大切です。生前整理の計画を立てる際は、家族一人一人の生活リズムや仕事の状況を考慮し、無理のないスケジュールを組みましょう。
とくに、遠方に住む家族がいる場合は、帰省のタイミングに合わせて話し合いの機会を設けると良いでしょう。
また、整理の過程で出てくる思い出の品々について、家族と一緒に思い出を語り合いながら、受け継ぐ人を決めていきます。
財産の分配については、公平性を保ちながらも、各々の事情や貢献度を考慮し、話し合いを通じて合意を形成していくことが望ましいです。そして何より、この過程を通じて家族の絆が深まるよう、感謝の気持ちを伝え合い、ポジティブな雰囲気で進めていくことを心がけましょう。
生前整理を進めるための心構え

生前整理は人生を振り返り、これからの時間をより豊かに過ごすための大切な機会です。前向きな気持ちで取り組むことで、新たな発見や喜びが見つかるはずです。
まずは、気負わず身近なところから始めましょう。たとえば、よく使う引き出しの整理や、古い雑誌の片付けなど、小さな成功体験を積み重ねることが大切です。普段の暮らしの中で「このものは本当に必要だろうか」と考えながら、少しずつ整理する時間を作っていきましょう。
整理の過程で見つかった思い出の品々は、その時の記憶や感情を大切に受け止め、写真に収めたり、日記に書き留めたりすることで、心に残る整理が実現できます。また、家族や友人と一緒に整理を進めることで、楽しい会話が生まれ、作業も苦になりません。
生前整理を進めていくと、自然と心が整理され、気持ちが軽くなっていきます。長年溜め込んでいた不要なものを手放すことで、部屋に空間的な余裕が生まれ、それに伴って心にも余裕が生まれてきます。物を減らすことで、掃除や片付けが楽になり、毎日の生活がより快適になっていきます。
また、必要なものがすぐに見つかるようになり、時間の節約にもつながります。大切なものを整理することで、自分の価値観も明確になり、これからの人生で本当に大切にしたいことが見えてきます。さらに、家族への想いを整理することで、より深い絆が育まれ、感謝の気持ちが自然と湧いてくるでしょう。
思い出の品々との向き合い方は、その人らしさを大切にしながら進めることが重要です。アルバムや手紙などは、家族と一緒に見ながら、当時の思い出を語り合う時間を持ちましょう。
子供の頃の作品や記念品は、写真に収めてからデジタルデータとして保存し、かさばるものは実物を厳選して残すという方法もあります。
家族で共有したい思い出は、みんなで集まる機会に昔の写真を見ながらエピソードを語り合うのもよいでしょう。また、代々伝わる品物は、その由来や想いを書き残しておくことで、次世代により深い形で受け継いでもらうことができます。そして何より、整理の過程で生まれる家族との対話を大切にし、新しい思い出として心に残すことが、生前整理の最も素晴らしい成果となるでしょう。
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