相続放棄後の遺品整理と遺産の処分がバレるリスク

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遺品整理士 谷 智栄
建設業で培った10年以上の経験を活かし、現在は遺品整理のプロフェッショナルとして活動。遺品整理で社会と向き合った経験を踏まえて情報サイトの運営をスタート。専属のファイナンシャルプランナーと話し合いを通して将来の自分と重ねながら実情の理解を深めています。遺品整理・生前整理・相続の相談・土地活用の相談・施工までトータルサポートします。まずは【あなたと遺品整理】とLINEともだちになってお悩みをメッセージしてみませんか?

親の死後、初めて目にした負債に気が引けて相続放棄したものの「実家の車庫に置いてある車を売れば数十万円にはなりそうだな…」というよこしまな心に踊らされて売却する人は多く存在します。

車を売却した後日、すぐに親族から連絡がありトラブルになってしまった。他の相続人はみんな実家の車なんて気にもしていなかったはずなのに…。そんな事態になってしまったあなたに向けて、お役に立てる記事になっています。

相続放棄後の遺品整理が「バレる」ケースとは

近所の人や相続関係者に見られて発覚するケース

遺産の中には家財や車両など高額なものが存在します。自分以外に財産の存在を知らないので、秘密にしたまま売却してお金に変えてしまいたいという気持ちはわかりますが、搬出の時にご近所さんに見られてバレるなんて事もあります。一度疑いがかかってしまうと、売却履歴が残っているので言い逃れはできません。

隠し財産や資産の取得が発覚するケース

遺品整理中に発見した未申告の現金や貴金属を売却したら、他の相続人から訴訟を起こされ、財産のネコババがバレるケースもあります。税務調査が入ると相続税や贈与税の不適切な申告として追徴課税を支払う羽目になってしまいます。

バレる」かもしれないという不安が伝わるケース

一時的な所得につながり一喜一憂しているのも束の間。日に日に罪悪感が増し家族に対して顔向けできなくなってしまい、その不安からくる表情に違和感を持った相続人が、遺品整理業者の契約内容や作業記録、預金通帳などの調査を行い明らかになる事もあります。中には正当な管理義務範囲であるにも関わらず、相談できずに不安を抱えている人もいます。

相続放棄した遺産に手をつけてしまった場合のリスクと対処法

「実家の片付けのつもりが…」「古い通帳を整理しただけなのに…」相続放棄をしたあと、良かれと思ってやっただけなのに思わぬ事態を招くことがあります。相続放棄後の遺産に手をつけてしまった場合の具体的な問題点と解決方法を提案します。

遺産への関与がもたらす法的問題

よくあるトラブル事例

  • 空き家となった実家の掃除や片付けを行った
  • 被相続人名義の預金通帳や印鑑を保管した
  • 家財道具を処分または自宅に持ち帰った
  • 不動産の管理のために立ち入った

このようなよくある事がきっかけで、実は法律違反だったなんて事態を招きます。相続放棄後に遺産に関与することは、相続放棄が無効とされる可能性があり、「相続人としての権利行使」とみなされることで、放棄の効力が失われるリスクがあります。

最高裁判例によれば、遺産の処分や積極的な管理行為は相続放棄の無効事由とされる場合があり、これにより相続人としての責任が復活し、被相続人の借金などの債務も引き継ぐことになるかもしれません。さらに、遺産の一部を処分した行為が相続財産全体の20%以上に及び”放棄無効”と判断された判例もあることから、特に注意が必要です。

また、遺産への関与が他の相続人に損害を与えた場合には損害賠償請求を受ける事があります。無断で遺産を処分した場合には悪質とみなされ、横領罪や詐欺罪に問われるリスクもあるため、罰金や懲役刑といった重い刑事責任を追及される場合もあります。

相続放棄後の対応

相続放棄後の対応としては、必要最小限の管理が認められており、例えば火災や盗難を防ぐための施錠や、腐敗・破損を防ぐための応急処置、限定的な公共料金の支払いが含まれます。一方で、家財道具の処分や持ち出し、預貯金の払い戻し、不動産の積極的な管理や賃貸は避けるのが望ましいとされています。

そのため、相続放棄後は、遺産の処分を控えつつ、必要最小限の対応にとどめるよう心がけ、他の相続人に管理をお願いしたり、不明な点があれば専門家に相談することが安心です。

よくある質問(Q&A)

Q1: 相続放棄後も実家に立ち入ることはできますか?

相続放棄をするとその財産に関する権利が失われるため、実家に立ち入ることは原則として避けるべきですが、他の相続人の同意を得ている場合や緊急事態でやむを得ない場合は例外的に認められることがあるので、事前に弁護士など専門家に相談することをお勧めします。

Q2: 相続放棄後遺品整理はできませんか?

相続放棄後に遺品整理を行うことは相続財産の管理や処分行為に該当する可能性があるため、自分で行うのではなく相続に詳しい専門業者に依頼するか、家庭裁判所の許可を得て慎重に進める必要があります。【あなたと遺品整理】では専属のファイナンシャルプランナーに無料で相談する事ができます。まずはLINEからお悩みを相談してください。

Q3: 相続放棄した家の公共料金を支払うと問題ありますか?

相続を管理する上で必要な範囲での公共料金の支払いは認められることがありますが、過剰な支払いは問題となる可能性があるため、支払い前に専門家に相談し、その内容や記録を残しておくことが重要です。

相続放棄をしても受け取れる財産とは?

相続放棄を行い、家庭裁判所で申述が認められた場合、被相続人の財産を一切引き継がないことになります。しかし、特定の財産については、相続放棄をしていても受け取ることが可能です。以下に詳しく解説します。

葬儀費用

葬儀費用は一般的な金額であれば、被相続人の財産から支出しても「相続を承認した」とはみなされません。したがって、相続放棄をしても、遺産の中から葬儀費用を支払うことができます。ただし、注意が必要なのは、過度に華美な葬儀を行い、その費用を遺産から支出した場合です。このような場合、相続放棄が認められなくなる可能性があります。

死亡保険金・死亡共済金

死亡保険金や死亡共済金は、被相続人が亡くなった後に支払われるお金であり、相続放棄の有無にかかわらず受け取ることができます。ただし、これらの金額は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となるため、一定の金額を超える場合には相続税を支払う必要が出てきます。

また、相続放棄を行うと、「初めから相続人ではなかった」という扱いになるため、本来相続人に認められる死亡保険金の非課税枠は適用されなくなります。この点にも注意が必要です。

祭祀(さいし)財産

祭祀財産とは、神棚や仏壇、先祖や神を祀るためのものを指します。これらの財産は相続放棄をしていても受け取ることが可能です。民法897条では、「系譜」「祭具」「墳墓」が祭祀財産として規定されています。これらは家族の伝統や文化を守るための重要な財産とされており、相続放棄の影響を受けません。

相続放棄を検討している場合でも、上記の財産については受け取ることが可能です。ただし、それぞれの取り扱いには注意点があるため、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

相続放棄後の管理義務とその重要性について

相続放棄を行った後、誰も足を踏み入れなくなった実家などの財産管理に関する責任はどうなるのでしょうか?多くの人が「放棄したからもう関係ない」と考えがちですが、実際にはある条件下で管理義務が発生します。相続放棄後に発生する管理義務の範囲や、その具体的な内容について詳しく解説し、トラブルを防ぐための方法をご紹介します。

相続放棄後にも管理義務が発生する理由とは?

相続放棄をしても、被相続人の財産を占有している場合には、その財産を適切に管理する義務が発生します。この管理義務は、財産が他の相続人や相続財産清算人、ファイナンシャルプランナーに依頼するなど対処する必要があります。

民法では、【財産を占有している者は自己の財産と同様の注意をもって保存を行う義務がある】と定められています。2023年4月1日に施行された民法改正では、管理義務の範囲がより明確化されました。この改正により、相続放棄者であっても、ある条件下で財産の管理責任を負うことが法的に規定されています。

※占有と所有のちがい

項目占有所有
定義事実的な支配状態法律上の権利(完全な支配)
成立条件物を実際に使用・保持していること法律的にその物を保有する権利があること
保護の範囲占有保護請求が可能所有権に基づく全ての権利行使が可能
借地人、他人の物を預かっている場合不動産や車などの所有者

管理義務の具体的な範囲と内容

相続放棄を行った後でも、被相続人の財産を占有している場合には、一定の管理義務を果たす必要があります。この義務は財産の種類や状況によって内容が異なりますが、大きく分けて不動産、動産、金銭の3つとなります。それぞれの管理内容について詳しく見ていきましょう。

不動産

不動産の管理には、建物や土地の維持が重要になります。実家などの建物がある場合、老朽化や倒壊を防ぐために適切なメンテナンスをしなければいけません。これには、屋根や外壁の修理、必要に応じた清掃や防水対策などが多岐に渡ります。また、土地についても夏場の炎天下で雑草抜きなどの維持管理には頭を悩ませます。不動産の価値を保つため、これらの対応とは向き合わなければいけません。

動産

たとえば父が所有していたクラウンやロレックスなどの動産については、安全に保管する義務があります。特に車両の場合、盗難や劣化を防ぐために倉庫など借りて保管し、必要であれば保険や通報装置などの防犯策を講じます。ガソリンも空にしておかなければタンクが腐食してしまうなどの手間があり、そのまま放置すると価値がどんどん低下してしまいます。

また、貴重品については、紛失や破損を防ぐために安全な場所に保管し、湿気の多い場所に長期保管するなど不必要な取り扱いを避けることが求められます。これらの動産が他の相続人や関係者に不利益を与えないように管理しなければいけません。

金銭

被相続人が残した預貯金や現金についても、適切な管理が求められます。これには、不正使用を防ぎつつ、財産を適切に保全する義務が含まれます。例えば、預金口座の利用記録を明確にし、不必要な支出を行わないよう、できれば複数人で管理することが望ましいです。

また、現金についても、紛失や盗難を防ぐために安全な場所で保管することが求められます。これらの金品には手をつけずに、金庫や口座に入金するなどしてリスクを減らします。

遺品整理士 谷

相続放棄を行ったとしても、財産を所有している場合には、それを適切に管理する責任が発生します。不動産、動産、金銭といったそれぞれの財産に応じた管理内容を正しく理解することが、トラブルの回避に繋がります。管理義務を果たすことは法律上の責任であると同時に、他の相続人との関係を円滑に保つための作業にもなるので、トラブルが起きる前に【あなたと遺品整理の公式LINE】からご相談ください。

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管理義務を免除する方法

相続財産清算人を家庭裁判所に申し立てて選任することで、管理義務を免除することができます。相続財産清算人が選任されると、財産の管理責任が清算人に移ります。

清算人選任の手続き

  1. 財産と同じ地域にある最寄りの家庭裁判所に申し立てを行う
  2. 必要書類を提出し、審査を受ける
  3. 清算人が正式に選任される

この手続きには一定の費用が発生するため、事前に確認しておくことをお勧めします。